【ゴルゴ13】【美味しんぼ】【はじめの一歩】など、
100巻の大台を超える長期連載漫画のひとつ、
ジョージ秋山先生が描く【浮浪雲】が、
2017年9月に連載終了することが決定しました。
ということで今回は、
ジョージ秋山先生について紹介していこうと思います。
そもそも30代以下の若年層のほとんどは、
ジョージ秋山先生の作品を知らない人が多いのでは?
ないでしょうか??
ジョージ秋山先生には【銭ゲバ】や【アシュラ】
といった代表作があります。
特に【アシュラ】は作品内で扱われる、
とある行為が原因で有害図書に指定されて
社会問題に発展しました。
他にも話題になったのは作品のみならず、
ジョージ秋山先生・・・実は!
漫画家を一旦引退して、
日本一周の放浪の旅に出るといった、
破天荒なことをしているんです!
どうでしょう^^
作品を知らない人でも、
「ジョージ秋山」という一人の人間に
少し興味が湧きませんか?
そこで今回は、
長期連載が終了する【浮浪雲】がどんな作品なのか?
またジョージ秋山先生のおススメ作品や、
ジョージ秋山先生のプロフィールを調べてみたので、
一緒にチェックしてみましょう♪
(主な内容)
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ジョージ秋山 プロフィール
ジョージ秋山 プロフィール | |
ペンネーム | ジョージ秋山 (じょーじあきやま) |
本名 | 秋山勇二 (あきやまゆうじ) |
生年月日 | 1943年4月27日 |
血液型 | AB型 |
身長 | 170cm |
学歴 | ― |
出身 | 東京都荒川区日暮里 |
デビュー作 | ガイコツくん (1966年「別冊少年マガジン」) |
主な作品 |
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受賞歴 |
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師匠 | 森田拳次 |
元アシスタント | てらお太平葉、イエス小池、ツカサ久賀、すがやみつる |
備考 |
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※2017年8月現在
当時としては珍しくなかったかもしれませんが、
5人兄弟とは現在ではすごい大家族ですね。
それ以上に驚いたのが、
ジョージ秋山先生が戦時中に生まれていたことに衝撃です。
ジョージ秋山先生代表作である、
【銭ゲバ】【アシュラ】【ピンクのカーテン】といった、
作品にみられるテーマは、
- 人間の善性や悪性
- 貧困によって現れる人間の醜さ
- 親族間の信頼関係を揺るがす煩悩
といった、
人間としてのタブーに関わる重いものが多いく、
その理由のひとつとして、
ジョージ秋山先生が、
戦後の貧しい日本を直に経験したためなのかも、
しれませんね。
実際にジョージ秋山先生は、
漫画家として成功するまでにも苦労されているようで、
高校進学を進められるほどの成績を残していたものの、
親兄弟の生活のことを考えて進学はせずに、
上京して神田の貸本漫画の取次店に就職。
就職後働きながら漫画を描いては、
取次先に自分の作品を持ち込んだり、
前谷惟光先生のお宅に毎日通って、
漫画の腕を磨いたそうです。
そして「前谷惟光」の名義で初めて、
単行本を1冊出すことになるのですが・・・
これは、
いわゆるゴーストライターだったんです。
その後取次店を退職後に数々のアルバイトをしながら、
作品の持ち込みを続けて編集者の紹介によって、
師匠となる森田拳次先生の下でアシスタントを行います。
そしてアシスタントをする傍ら、
貸本漫画で作品を発表。
【ガイコツくん】で商業誌デビューしました。
もうすでにこの時点で、
ジョージ秋山先生は十分苦労していますね。
でも、
この地道な努力と経験こそが、
のちの作品に生きてくるんでしょうね。
ジョージ秋山先生の作品といったら、
読後感が悪く考えさせられるような重いものばかりと
思う人が多いかもしません。
しかしデビューして初期の頃は、
児童向けのギャグ漫画を描いていたんですよ。
ギャグ漫画の作品としては、
受賞作の【パットマンX】や【ざんこくベビー】、
【コンピューたん】【ほらふきドンドン】、
【デロリンマン】といった代表作があるんです。
デロリンマン (1)
ちなみに筆者は、
上記のギャグ作品は読んだことがありませんが。
調べてみたところギャグ漫画といっても、
ただただバカ騒ぎを描いただけのものではなく、
なんだか哀愁を感じてジワッと笑えるような、
作品だそうです。
さてギャグ漫画で実績を積んだ後、
ついに!代表作であり、
漫画家としての転機ともなる、
【銭ゲバ】と【アシュラ】を発表します。
両作品とも同時に連載していたというのが、
非常に衝撃的ですね。
正直いって・・・笑えないこの2作を描いていた頃の
ジョージ秋山先生の精神状態が心配になってしまいました^^;
そして自身の半生を描いた自伝的作品の、
【告白】に続くのですが。
自伝と謳ってはいるものの、
作品内で「人を殺したことがある」
といったウソを使用しています。
ジョージ秋山先生が現代でこそ認められている「ハーフ」を、
自身の朝鮮と日本のハーフという生い立ちをもとにした当時の差別や、
もし自分が殺人者だったらといった思考を読者に想像させるための
実験的な作品です。
個人的にこの作品も、
問題作のひとつといえるのではないでしょうか。
告白【電子書籍】[ ジョージ秋山 ]
そしてこの作品の後に、
ジョージ秋山先生は日本一周放浪の旅に出かけています。
おそらくですが、
【銭ゲバ】【アシュラ】、
それに【告白】といった3作がヘビー過ぎただけに、
精神的につらかったのではないでしょうか。
しかし3か月後には、
【ばらの坂道】で漫画家として復帰され、
ここからは青年誌でも活動するようになり、
ジョージ秋山先生の作品の中で最長の連載となる、
【浮浪雲】の連載がスタートします。
その後も多くの作品を描かれ、
代表作としては、
映像化された【ピンクのカーテン】と、
【捨てがたき人々】が挙げられます。
2000年以降には、
作品によるイメージから社会派として世間に認知されており、
【マンガ中国入門 やっかいな隣人の研究】
といった国際問題を扱った本も発表しており、
他にも幻冬舎か出版されている、
【漫画版『聖書』】のシリーズも手がけています。
そんな社会派のイメージが強くなったジョージ秋山先生。
中学時代の知能指数120という話がありますが、
これについては、
あながちウソじゃないのかもしれませんね^^
さてここまで、
ジョージ秋山先生の半生を作品と共に振り返ってみましたが、
結婚されているのか気になりますよね。
次は結婚と子供がいるのかについて、
調べてみました^^
ジョージ秋山は結婚してるの?子供は?
ジョージ秋山先生は、
結婚しているのか?
ということですが、
調べてところによると、
「既婚者」とのことです。
嫁について調べてみましたが、
ジョージ秋山先生の作品である、
【WHO are YOU―中年ジョージ秋山物語】にて、
「わたしは妻を殺した。」と・・・
衝撃の告白をしています。
しかしこれはについては間違いなく、
ジョージ秋山先生のお得意の虚言癖でしょう^^;
それ以外の嫁についての真実は、
見つかりませんでした。
(この虚言ネタ?は、笑えないのでやめたほうがいいのでは・・・
と個人的に思います☆)
ちなみに。
子供については、
息子さんがいることは分かっています。
息子さんの秋山命(あきやまいのち)さんは、
現在、
放送作家/脚本家として活躍されているようです。
ジョージ秋山先生のストーリーテラーとしての才能が
受け継がれたようですね。
秋山命さんは脚本家・制作企画協力として、
ジョージ秋山先生の代表作である下記の3作品の映像化を手掛けています。
- 【アシュラ】(アニメ映画、制作企画協力)
- 【捨てがたき人々】(実写映画、脚本)
- 【銭ゲバ】(実写ドラマ、制作企画協力)
放送作家としては夏目三久さんがメインキャスターを
務めるTBSの朝の情報番組「あさチャン」があります。
ウソばかりついていてる?ジョージ秋山先生ですが、
子供はしっかりと育てていたので安心しましたね(笑)
それでは次は、
連載が終了する【浮浪雲】について紹介します!
ジョージ秋山の浮浪雲ってどんな漫画?
44年にも及ぶ長期連載の、
【浮浪雲】
浮浪雲 (1) (ビッグコミックス)
この作品について紹介していきますね。
そもそも【浮浪雲】というタイトルからして、
どう読めばいいのかわからない人もいるでしょう。
浮浪雲と書いて、
「はぐれぐも」と読みます。
これは充て字で、
正確には浮浪という単語に、
「はぐれ」という読み方は存在しません。
内容は幕末時代の江戸を舞台とした作品です。
元・武士で現・問屋の主人の雲と、
その家族に関わる人々による人間模様を描いています。
雲は問屋の主人という立場ではあるが、
普段は一切仕事をせずに放蕩ばかりしています。
しかし。
実は居合の達人だったり、
なぜか人を惹きつける魅力がある人物で、
多くの歴史上の人物が登場する今作で、
そういった歴史上の人物とも対等に口を聞くという、
そんなキャラクター設定となっています。
またひとつのエピソードごとに、
雲が日常で起きることに、
自分の信念や美学に基づいた名言や人生訓を残す、
といったものになっていて、
「なるほど」と感心させられます。
そして【浮浪雲】は、
ジョージ秋山先生のライフワークとも呼べる作品で、
作品全体を通して暗い雰囲気などは感じられないので、
軽い気持ちで読むことができます。
続きが気になるから、
ガッツリと単行本で読むというよりも、
たまたま掲載誌を開いたらまだ続いてるから、
流れで読んじゃうみたいな、
比較的ユルい感じの作品です。
なので、
読んでるうちにクセになると思いますよ。
続いては、
ジョージ秋山先生の代表作品を紹介しますので、
一緒に見ていきましょう。
ジョージ秋山の代表作について
ジョージ秋山先生のおススメ作品といえば、
やっぱりこの【銭ゲバ】と【アシュラ】でしょう。
まずは【銭ゲバ】。
銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)
貧しい家庭に生まれた蒲郡風太郎が、
心の支えだった母の死を機に、
盗みを働いてしまいます。
その犯行を止めに入った近所の青年は風太郎を咎めるのですが、
風太郎は自暴自棄になって、
その青年をあやめてしまいます。
それを機に、
生きていくため金を手にするためなら、
どんなに汚いことでも、
人として外れたことでも行うことを決意します。
成り上がるために次々と犯行を繰り返す風太郎からは、
人は貧しいと卑しい行いを選択してしまう浅ましさと、
金のために犯行を繰り返す虚しさを教えてくれる作品です。
この作品は平安時代末期を舞台にしています。
疫病や飢餓で苦しむ人が多かった時代で、
まともな食料もありません。
そんな極限状態で人が最後に考え付くのは、
同族である人も食料になるということ。
主人公のアシュラが、
身分の低い飢餓状態の母親から産み落とされるところから、
物語は始まります。
最初のうちは可愛がられて育つアシュラですが、
飢餓状態が続いて極限状態に陥った母親が
アシュラを焼いて食べようとするのですが・・・
雷が落ちたことにより、
母親から食べられることはなくなるも、
捨てられてしまいます。
捨てられたアシュラは、
なんとかケダモノとして成長します。
言葉も喋れず人語も理解できないアシュラは、
人も食料として捉えていて、
人を襲って食していました。
ある時通りかかった法師を襲うも、
返り討ちに会い、
その法師に食料を与えられ、
人として初めて言葉を教わります。
その後も人を襲い続けるアシュラでしたが、
若狭(わかさ)という娘との交流により、
人語を理解し話せるようになっていく。
そして自分がケダモノではなく人間であると理解し始め、
感情や愛情などを知っていき、
自分が家族や仲間と共に生活できないことに、
次第に苦悩していくことになります。
この作品はカニバリズムが大きなテーマになっているため、
それが原因で有害図書として指定されて一躍話題になりました。
部分部分では、
たしかに考えさせられるような描写があります。
特に
「生れてこなければよかった。
喰うものがなければ人を食うしかないじゃないか。」
と嘆くアシュラに対して、
自分の左腕を斧で切り落として、
「お前はケダモノじゃない。人間だ。」
とアシュラを諭すシーンはよかったと思います。
しかしそれでも筆者は個人的に、
アシュラに一切共感できませんでした・・・
アシュラをかわいそうな境遇に生まれたと感じはするものの、
同じような姿かたちをしている人間を食べることは、
自分には到底できないと感じましたね・・・
【アシュラ】はアニメ映画化もされているので、
気になったらアニメを見てみるのもいいかもしれません。
個人的には漫画よりもアニメの方をおススメします。
多少原作である漫画とは内容が異なりますが、
どちらも人間の尊厳をテーマにしているため、
一見の価値はありますよ!
はっきり言って【銭ゲバ】と【アシュラ】は、
読む人を選ぶ作品だと思うので、
見た人すべてがイイ作品だったとは言わないでしょう。
読後感は両作品とも「悪い」と感じる人が多いと思いますが、
それでも、
人間を知るという意味ではよい教材だといえるでしょう。
ここまでジョージ秋山先生とその作品について語ってみましたが、
魅力が伝わったでしょうか?
【浮浪雲】が終了したら、
ジョージ秋山先生。
今のところ連載中の作品はなくなってしまいます。
しかしながら、
44年という半世紀に近い年月連載を続けていたのだから、
そろそろ休んでもらってもイイのでは?と個人的には思います。
あくまでも個人的な妄想ですが、
ジョージ秋山先生の今後の活動の予測をするとしたら、
「週刊漫画ゴラク」とかで、
またスグに新連載を開始してそうな気がします。
それほどに、
ジョージ秋山先生の作品は、
常にどこかに載っているのが当たり前って感じがありますもんね。
とにかく!44年という長い間お疲れさまでした。
まだ決まってないかもしれませんが、
新たな連載作品が生まれることを願って、
ジョージ秋山先生を応援し続けようと思います。