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小学館

萩尾望都の今現在はポーの一族で注目!顏や年齢・結婚などプロフィールやおススメ作品を紹介

1月下旬いつものようにTwitterを眺めていると、
タイムラインにひとつのツイートが流れてきました。

それは大切に大切に作り上げた本が重版になったことを喜ぶ―
それこそ嬉しさのあまり泣いてしまう程に喜ぶ―

ある編集者の方のツイートでした。

添付された写真を見てみると、
あぁ!コレは!!!

萩尾望都 SFアートワークス [ 萩尾望都 ]

萩尾望都先生のSFアートワークスではありませんか!

素晴らしい画集でありつつ、
萩尾望都先生自身のコメントも沢山・・・

うわ、これ筆者も欲しいです。

というか表紙のこの作品!
持ってます!

文庫の初版持ってますよ〜!

何度も読み返し-ているのでかなり年季入った状態になっております(笑)

萩尾望都先生といえば言わずと知れた少女漫画界の巨匠。

いや・・・少女漫画界の巨匠というよりも、
少女漫画をそれまでの既存の枠から解放した巨匠、
と言った方がいいのかもしれませんね。

あまりにも有名な漫画家さんではありますが、

今いちど萩尾望都先生とはどんな方なのかを、
チェックしてみましょう!

(主な内容)

  • 萩尾望都 プロフィール
    萩尾望都、家族は?
  • 萩尾望都の作品について
    ポーの一族-ヴァンパイアという否定される存在の少年-
    スター・レッド-否定的な運命に抗い未来を切り開く少女-
    半神-自分をみつめる-
    イグアナの娘-母に認めてもらえない少女の心が解放されるまで-
  • 母は”漫画家萩尾望都”を認めたのか
  • 萩尾望都先生の現在の活動は?
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萩尾望都 プロフィール

萩尾望都 プロフィール
ペンネーム  萩尾望都
(はぎお もと)
本名  萩尾望都
(デビュー前の投稿時ペンネームは萩尾望東)
生年月日  1949年5月12日
血液型  O型
学歴
  • 熊本県荒尾市立荒尾第四小学校入学
    →大牟田市の小学校に転校
  • 大牟田市立船津中学校入学
    →中学2年で大阪府吹田市立吹田第一中学校に転校
  • 大阪府立吹田高校入学
    →高校2年で福岡県立大牟田北高校に転校
  • 日本デザイナー学院 ファッションデザイン科卒(福岡市)
出身  福岡県大牟田市
デビュー作 ルルとミミ
(1969年「なかよし夏休み増刊号」)
主な作品
  •  すてきな魔法
    (1969「なかよし」)
  • クールキャット(1970「なかよし」)
  • 爆発社会
    (1970)
  • ビアンカ
    (1970)
  • ケーキケーキケーキ
    (1970「なかよし」)
    ※原作:一ノ木アヤ)
  • ポーチで少女が子犬と
    (1971「COM」)
  • ベルとマイクのお話
    (1971「少女コミック」)
  • 雪の子
    (1971「別冊少女コミック」)
  • 塔のある家
    (1971「少女コミック」)
  • 花嫁をひろった男
    (1971)
  • ジェニファの恋のお相手は
    (1971「なかよし」)
  • かたっぽのふるぐつ
    (1971「なかよし」)
  • かわいそうなママ(1971「別冊少女コミック」)
  • 精霊
    (1971‐1974)
  • モードリン
    (1971「少女コミック」)
  • 小夜の縫うゆかた(1971「少女コミック」)
  • ケネスおじさんとふたご
    (1971「別冊少女コミック」)
  • もうひとつの恋(1971「少女コミック」)
  • 10月の少女たち(1971「COM」)
  • 秋の旅
    (1971「別冊少女コミック」)
  • 白き森白き少年の笛(1971「少女コミック」)
  • 11月のギムナジウム(1971「別冊少女コミック」)
  • セーラ・ヒルの聖夜
    (1971「少女コミック冬の増刊号」)
  • あそび玉
    (1972「別冊少女コミック」)
  • みつくにの娘
    (1972)
  • 毛糸玉にじゃれないで
    (1972年 「少女コミック」)
  • ポーの一族
    (1972年‐1976年 2016年-2017年)
  • ごめんあそばせ!(1972「少女コミック」)
  • 3月ウサギが集団で
    (1972「少女コミック」)
  • 妖精の子もり
    (1972「別冊少女コミック」)
  • 6月の声
    (1972「別冊少女コミック」)
  • ママレードちゃん
    (1972「少女コミック」)
  • ミーア
    (1972「少女コミック」)
  • とってもしあわせモトちゃん
    (1972-1976「別冊少女コミック」「少女コミック」「ちゃお」「おひさま」)
  • 千本めのピン
    (1973)
  • キャベツ畑の遺産相続人
    (1973「少女コミック」)
  • オーマイ ケセィラ セラ
    (1973「少女コミック」)
  • ハワードさんの新聞広告
    (1974「別冊少女コミック」)
  • ユニコーンの夢
    (1974「別冊少女コミック」)
  • トーマの心臓
    (1974「少女コミック」)
  • まんがABC
    (1974「別冊少女コミック」)
  • プシキャット・プシキャット
    (1974)
  • この娘うります!(1975「少女コミック」)
  • 温室
    (1975「セブンティーン」)
  • アロイス
    (1975「花とゆめ」)
  • 11人いる!
    (1975「別冊少女コミック」)
  • 赤ッ毛のいと
    (1975-1976「セブンティーン」)
  • ヴィオリータ
    (1975「JOTOMO」)
  • アメリカン・パイ(1976「月刊プリンセス」)
  • 花と光の中
    (1976「少女コミック」)
  • ヨーロッパみぎひだり
    (1976「月刊プリンセス」)
  • 影のない森
    (1977「ビッグコミックオリジナル」)
  • 少女ろまん
    (1977「月刊プリンセス」)
  • 十年目の毬絵
    (1978「ビッグコミックオリジナル」)
  • マリーン
    (1978「セブンティーン」)
  • 百億の昼と千億の夜
    (1977「週刊少年チャンピオン」)
    ※ 原作:光瀬龍
  • ゴールデン・ライラック
    (1978「別冊少女コミック」)
  • スター・レッド
    (1978「少女コミック」)
  • 左ききのイザン
    (1978「SFファンタジア」)
  • 花々に住む子供
    (1979「月刊プリンセス」)
  • さなぎ
    (1979「セブンコミック」)
  • フレア・スター・ペティコート
    (1979「別冊奇想天外SFマンガ大全集」)
  • 恐るべき子どもたち
    (1979「セブンティーン」)
    ※原作:ジャン・コクトー
  • 月蝕
    (1979)
  • ラーギニー
    (1980「SFマガジン」)
  • メッシュ
    (1980-1983「プチフラワー」)
  • 金曜の夜の集会
    (1980「SFマガジン」)
  • 銀の三角
    (1980-1982「SFマガジン」)
  • 一角獣種シリーズ
    (1981-1984)
  • モザイク・ラセン
    (1982「月刊プリンセス」)

  • (1983「プチフラワー」)
  • 半神
    (1984「プチフラワー」)
  • エッグ・スタンド(1984「プチフラワー」)
  • 偽王
    (1984「プチフラワー」)
  • ハーバル・ビューティー
    (1984「ぶ~け」)
  • 天使の擬態
    (1984「プチフラワー」)

  • (1984「プチフラワー」)
  • スロー・ダウン
    (1985「プチフラワー」)
  • ばらの花びん
    (1985「プチフラワー」)
  • きみは美しい瞳
    (1985「ASUKA」)
  • マージナル
    (1985-1987「プチフラワー」)
  • 友人K
    (1985)
  • 完全犯罪フェアリー(1988「プチフラワー」)
  • フラワーフェスティバル
    (1988-198「プチフラワー」)
  • 海賊と姫君
    (1989「プチフラワー」)
  • 青い鳥
    (1989「プチフラワー」)
  • 海のアリア
    (1989)
  • ローマへの道
    (1990「プチフラワー」)
  • 真夏の夜の惑星
    (1990「プチフラワー」)
  • ロットバルト
    (1991「プチフラワー」)
  • ジュリエットの恋人
    (1991「プチフラワー」)
  • 感謝知らずの男
    (1991-1992「プチフラワー」)
  • いるかいないかさがし
    (1991)
  • カタルシス
    (1991「プチフラワー」)
  • イグアナの娘
    (1992)
  • 残酷な神が支配する(1992-2001 プチフラワー)
  • あぶない丘の家
    (1992-1994)
  • 午後の日差し
    (1994「ビッグゴールド ビッグコミック増刊」)
  • 学校へ行くクスリ(1994「ビッグゴールド ビッグコミック増刊」)
  • 帰ってくる子
    (1998)
  • バルバラ異界
    (2002-2005「フラワーズ」)
  • 朝はバニラの香り(2005「フラワーズ」)
  • あぶな坂HOTEL
    (2006-2007「YOU」)
  • 長靴をはいたシマ猫(2006)
  • ここではない★どこか
    (2006-2012「フラワーズ」)
  • さみしいときは
    (200「フラワーズ」)
  • バースディ・ケーキ(2007)
  • レオくん
    (2008-2012「フラワーズ」)
  • 猫本クリニック
    (2007)
  • 菱川さんと猫-ゲバラシリーズ
    (2009-2012「月刊アフタヌーン」)
    ※原作:田中アコ
  • なのはな-幻想『銀河鉄道の夜』
    (2012)
  • 王妃マルゴ
    (2012「YOU」)
  • AWAY-アウェイ
    (2013-2015「フラワーズ」)
    ※原案:小松左京「お召し」
  • 福島ドライヴ
    (2013「ビッグコミック」)
  • うそうそ(しゃばけ漫画)
    (2014)
    ※原作:畠中恵
  • 由良の門(と)を
    (2016「月刊アフタヌーン」)
    ※原作:岩明均「寄生獣」より
  • バス停にて
    (2018「週刊モーニング」)
 元アシスタント  花郁悠紀子、佐藤史生
備考
  • 人気漫画家としての地位を確立したのちの1977年、定年になった父を代表として会社「望都プロダクション」を作るも2年後に解散。両親との不和が高じて大げんかしたことが原因とのこと
  • 1976年
    【ポーの一族】【11人いる!】で第21回小学館漫画賞を受賞
    その後も現在まで受賞歴多数
  • 2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章を受章

※2018年2月現在

それにしても、
スゴイ量の作品の数でビックリしましたが、

萩尾望都先生は1970年代を中心に現在までの間、
長期間の休載期間もなく、
頻繁に作品を発表されていたことがよく分りますね。

こんなに長い期間休まず、
新たな作品を描き続ける萩尾望都先生って本当にスゴイです!

 

萩尾望都、家族は?

さてファンなら一度は気になる、
萩尾望都先生の家族についてですが、

既婚・未婚、
そして子供についての情報は一切はなく、

長年のファンの間でも知る者はいないらしいのです!

ただし萩尾望都先生は大の猫好きとのことで、
現在は埼玉県の自宅兼仕事場で7匹の猫たちと暮らしています。


コチラの猫ちゃんたちは実際に先生が飼っている猫ちゃんです♪

 

そんな萩尾望都先生のきょうだいですが、

4人兄弟の次女(姉・妹・弟)として育ちました。


(「浦沢直樹の漫勉」の放送より)

また教育熱心だったという両親は、
子ども達が漫画を読むことを禁止していたそうです。

さて幼少期からの絵の才能を伸ばすため、
小学3年生の頃から絵の塾で油絵を学んだ経験がある萩尾望都先生ですが、

高校2年生のときに手塚治虫の【新選組】に強く感銘を受け、
本気で漫画家を志すようになりました。

そして1969年10月頃上京。
同じく漫画家である竹宮恵子先生と共同アパートで生活し、
さまざまな漫画家たちと切磋琢磨する生活を送ってこられました。

なおこの頃活躍した萩尾望都先生や竹宮恵子先生を始めとした漫画家たちは、
後に【24年組】と呼ばれることとなり、

先生方が生活されていた共同アパートは後に、
「大泉サロン」と呼ばれることとなりました。

少女漫画の神様と言われる程に読者や後の漫画家たち、
そして少女漫画界自体に多大な影響を与えてきた萩尾望都先生。

1976年を皮切りに多数の受賞歴もあり、
順風満帆の漫画家人生を送っておられるように思います。

しかしその一方でご両親、
特にお母さんと理解し合えないことー

最も大切に思っている漫画というものを認めてもらえないことに、
長い間苦しまれた人生でもあったのだと知り、
驚きました。

・・・いや待てよ?
いまいちど萩尾望都先生の作品のストーリーを思い返してみると・・・

驚くことなどない、

むしろその事はずっと、
萩尾望都作品の大テーマのひとつだったのだと気付きました。

「否定され、理解し合えない。理解し、認め合いたい。」

この祈りにも似た強い想いは、
萩尾望都作品のそこかしこに刻まれています。

 

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萩尾望都の作品について

ポーの一族-ヴァンパイアという否定される存在の少年-

46年前の1972年にシリーズ第一作、
【すきとおった銀の髪】が発表されたこの作品は、

1974年に単行本【ポーの一族】として発売されるやいなや、

初版3万部が3日で完売。

その後長年にわたって絶大な人気を誇る作品となりました。

1992年【CREA】(文藝春秋)が実施したアンケートによる、
少女マンガベスト100では1位に選出され、

また2016年【月刊フラワーズ】(小学館)7月号に、
連載終了から40年ぶりの新作【春の夢】が発表されると、
掲載紙売り切れの書店が続出し、

少女漫画誌としては異例の重版となりました。

その後2017年1月から5月までシリーズ連載され、
同年7月に単行本として発売されたこの作品が、
【このマンガがすごい!2018】オンナ編の第2位に選ばれたことで、
ご存じの方も多いのではないでしょうか。


ポーの一族 〜春の夢〜 (フラワーコミックススペシャル)[本/雑誌] (コミックス) / 萩尾望都/著

【ポーの一族】シリーズは、
ヴァンパイアの一族を描く一大抒情詩です。

14歳でヴァンパイアとなり永遠に美しい少年であり続けるエドガー。
そしてアランとエドガーが愛してやまない守るべき存在の妹マリーベル。

18世紀半ばから現代まで、
彼らは様々な時代様々な場所に現れ、

ヴァンパイアという異端で否定される存在ゆえの苦悩に直面し、
そして悲劇を生んでしまいます。

永遠に歳を取らないエドガーたちヴァンパイア。

その存在に怯え、
滅ぼそうとする人間たち。

「消えろ!お前たちは何のためにそこにいる!なぜ生きているのだこの悪魔!」
という人間の問いかけに、

「・・・なぜ生きているのかって・・・それが分れば!」と、
心の中でつぶやくエドガー。

否定された存在のまま、
永遠の時をあてもなく彷徨う途方もない孤独。

だからこそ求めてやまない『共に生きる理解者』

大人になることが出来ない美しい少年の苦悩や悲しみが、
むせかえるような赤い薔薇に彩られ美しく描かれています。

萩尾望都先生の繊細で耽美な絵と幻想的で緻密なストーリー展開に、
ウットリと引き込まれるのは勿論のこと、

美しいエドガーの苦悩が不思議と私たち『どこにでもいる人間』の、
特に思春期の苦悩に通じる気がして、

そこに共感を覚えずにはいられません。

周囲の大人たちに否定されたり、
他者との違いにコンプレックスを抱いたりすることで、
苛立ちだったり何のために生きているのか悩んだり、

そしてなにより自分を認めてほしいと願う、
思春期の想い。

【ポーの一族】がこれほどまでに支持を集めるのは、
単に美しくファンタジックな少女漫画という枠に収まらず、

そういったリアルな少年少女の苦悩に通じるものを、
鮮明に描いているからではないだろうかと筆者は思うのです。

 

スター・レッド-否定的な運命に抗い未来を切り開く少女-


スター・レッド【電子書籍】[ 萩尾望都 ]
冒頭に書いた【萩尾望都SFアートワークス】の表紙を飾る少女、
この美しい主人公の名は徳永星(とくながセイ)、
通称レッド・星(セイ)15歳。

優しく理解のある養父のもとで日中はお嬢様学校に通い、
夜は暴走族レッド・サークルをボスとして率いています。

勝気で活発な彼女ですが大きな秘密を抱えています。

実は地球人ではなく、
白い髪と真紅の瞳を持つ5世代目の火星人『セイ・ペンタ・トゥパール』
だということ。

そして過酷な火星の環境に適応する過程で火星人に与えられたチカラ、
超能力を持つこと。

このことを隠すことなく自分で居られる場所である故郷の火星に恋をし、
帰る日を夢見ています。

しかし異星人エルグとの出会いにより、
火星と火星人の呪われた運命を知ることに。

愛する存在を呪われた運命から救うため、
星が銀河系の中心で見たものは・・・

1980年に第11回星雲賞コミック部門を受賞した【スター・レッド】は、
萩尾望都先生の代表的なSF作品のひとつ。

ここまで広げるのか!と度肝を抜かれるほどに壮大なストーリーでありながら、
しっかりまとめ上げられてゆく緻密な構成で、

いちど読みだしたらラストのコマを見届けるまで作品から逃げ出せなくなります。

【ポーの一族】のエドガーと同じく、
星も自分と自分の愛するものを否定される運命に翻弄されます。

しかし彼女は愛するものを救う為に、
そして自らを救う為に、

仲間とともに運命に抗い未来を切り開いていきます。

この星の、
『隠すことなく自分らしく生きたい、
そしてそれを認め受け入れてくれるものを大切に守り抜きたい』と願う、
ひたむきで命がけな姿にも、

やはり筆者は思春期の強く純粋な想いに重なる部分を感じるのです。

余談ですが怒涛の展開からのラスト10ページ程、
サンシャインのひとつひとつの言動が、
穏やかなのにもかかわらず胸に迫ってきて、

筆者は毎回泣いてしまいます。

いい加減泣かずに読み終われるようになりたいです(笑)

 

半神-自分をみつめる-


半神【電子書籍】[ 萩尾望都 ]

萩尾望都先生の短編最高峰と呼ばれる作品です。
1986年には野田秀樹さんが舞台化し、
その後も3度再演されています。

この作品はわずか16ページしかありません。

しかし読むとそのことにただただ驚くのです。

「たった16ページでこれだけの内容を表現できるのか!」と。

前述のエピソードにも書きましたが、
萩尾望都先生は高校2年生のときに手塚治虫先生の【新選組】と出会い、
強く感銘を受けます。

特に作中のあるシーンが強く心に響きました。

そのシーンのセリフは吹き出しの中に短くたった2行。
「大作……許してくれ」これだけです。

(【新選組】の一コマより)

しかし萩尾望都先生には吹き出し以外の文字のない背景に、
いくつものセリフが書いてあるように見えたそうです。

後年読み返して、
たった2行しかなかったことに気付き驚かれたのだとか(笑)

「わずか1ページわずか2行のセリフでこれだけのことを漫画では表現できるのか」
という高校2年生の少女が受けた強い衝撃が、
そしてそれに触れて培われたセンスが、
とても16ページとは思えない【半神】という作品には宿っているのではないのかと、
筆者は感じました。

ちょっと前置きが長くなりましたが(汗)

【半神】のおおまかなあらすじはというと、

この作品の主人公はユージ―という少女。
妹ユーシーと腰の辺りでつながった結合双生児です。

ユージ―はとても賢いのですが妹に栄養分を吸い取られる体質で、
醜く痩せ衰えています。

一方妹ユーシーは姉から栄養分をもらっているので、
痩せ衰えることもなく天使のように美しい少女ですが、
知的障害があり話すこともままならず幼児のようです。
そして自らの体内では栄養分を作り出すことが出来ません。

離れることが出来ない故に、
ユーシーの世話の多くはユージ―がするしかありません。

養分を奪い世話をかける厄介な妹。
なのに可愛がられるのも美しい妹です。

ユージ―はユーシーが大嫌いです。

成長したある日、
ふたりは手術で切り離されることになります。

離れたくても離れられなかった妹。

離れることでユージ―にみえたものは・・・

以前作家の恩田陸さんとの会談で萩尾望都先生は、
「双子を描く」という理由を、

「もうひとりの自分という感じ。
似ていても似ていなくても自分を見つめるのにはいちばん早い方法」

というように言っておられました。

自分を見つめる。
自分とは何者なのか?

ユージ―の痛みや苦しみは、
人が生きるなかでたびたび遭遇する壁、
自問自答とつながっているように感じます。

そしてその痛みは読んでいるこちらの胸を貫きます。

それにしてもこの内容を16ページで・・・
萩尾望都先生の表現力の凄まじさに圧倒されるばかりです。

 

イグアナの娘-母に認めてもらえない少女の心が解放されるまで-

【イグアナの娘】は萩尾望都先生が対談で、
私小説にいちばん近いとおっしゃった作品です。


イグアナの娘【電子書籍】[ 萩尾望都 ]

1996年に連続ドラマ化されましたので、
コチラをご存じの方も多いのではないでしょうか。(

筆者はこのドラマにハマり、
たびたび泣きながら観ておりましたw

筆者が萩尾望都作品の大テーマのひとつだと感じた、
「否定され、理解し合えない。理解し、認め合いたい。」

これが色濃く描かれた作品だと思います。

萩尾望都先生は2歳の頃から絵を描くのが好きで、
4歳で本だけではなく漫画も読みはじめますが、

前述のとおりご両親は漫画を禁止していました。

特にお母さんは「漫画は頭の悪い子が読むもの!」と叱るので、
萩尾望都先生はご両親に隠れて漫画を描いたり読んだりしていたそうです。

そして、
「漫画をやめろと言われてもやめられない、
親の言う事を守れない自分は悪い子なのだ」と自分を責めていたそうです。

またお母さんはいつも「勉強しろ」と追い立て、
「成績の悪い子と付き合うな」「教科書以外の本は読むな」と行動を制限し、
姉妹と比較しては萩尾望都先生を四六時中怒っていたそうです。

成績が良くなかった萩尾望都先生は、
家に居るのが辛くて仕方なかったとのこと。

そりゃそうですよね。
筆者がこの環境におかれたら尾崎豊の【15の夜】歌いながら、
バイクぶっ飛ばしそうです。

でも萩尾望都先生はそんなことしなかった。

それどころか努力を重ねたのちに漫画家として成功し、
設立したご自身の会社の代表にお父さんを迎えます。

しかしそれでも、
ご両親は萩尾望都先生が最も大切にしている「漫画」を、
そして「漫画家」という仕事を理解してはくれませんでした。

お父さんは萩尾望都先生の仕事を「お絵かき教室の先生」くらいに思っていて、
アシスタントさんにお給料を払っていることに対し、
「弟子なのだから本来ならば指導料を取るべきなのになぜ給料を払っているのか」
そう驚かれていたとのこと。

更にご両親ともに、
「絵を描くのは趣味にしてこの仕事を辞め、
普通の生活に戻って早く結婚しなさい」
と強く求めていらっしゃったそうです。

お互いの意見大切にしている生き方があまりにも違い過ぎる。
理解し合えない・・・

このことが原因となり、
萩尾望都先生とご両親はついに大げんかをして会社を解散してしまいます。

【イグアナの娘】はこういった背景や、
厳格なお母さんとの対立を基として描かれた作品です。

主人公の少女リカは、
母の目には生まれたときからずっと醜いイグアナとして映っており、
母はどうしてもリカを愛することが出来ません。

そしてリカの妹は普通のかわいい人間の姿に見えるので母は妹を溺愛し、
ますますリカに冷たくなります。

リカ自身も鏡に映る自分がイグアナに見えるようになり、
「こんな自分だから母に愛されないのだ。
そして恋愛も出来ないし幸せにはなれないのだ」
と思い込むようになります。

やがて紆余曲折を経て、
親元を離れたリカは幸せを得るのですが・・・

先に【イグアナの娘】はお母さんとの対立を基として描かれたと書きました。

そして萩尾望都先生は「対立」について、
「なぜ対立するかというと、理解したいから。」と語っておられます。

リカは母に愛してもらいたかったし、
何故自分が愛してもらえないのか認めてもらえないのかを理解したかった。

理解できたそのとき、
リカはようやく母から解放されたのだなと思いました。

そして作中のリカの姿は、
親から精神的に自立してゆく子どもの姿そのものに思えました。
リカ・・・よかったね。

そうそう本作品を発表後しばらくして萩尾望都先生は、
「常に優秀で理想的な子ども像を自分に求めてきたお母さん」自身が、
子供時代に優秀なお姉さんと比較され駄目な子だと言われ続けていた事実を、
お父さんとのやり取りで偶然知ったそうです。

そしてそこで初めて、
お母さんに同情したとのこと。

・・・え!?ということは、
【イグアナの娘】執筆中にはそのことをご存じなかったの!?

読めばわかりますが筆者はこの事実に相当驚きました。

凄いなぁ、
親子って理解を超えたところでつながってることがあるんですね。

 

※次のページでは萩尾望都先生と母親の関係や、
萩尾望都先生の今現在の活動についてまとめました。
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